18列46番で会いましょう

私に好きなだけキキちゃんの話をさせてくれ

<好評発売中♪>パリの一日をシャンソンで彩るツアー

☆★☆人気のセーヌ河を二日かけて反復横跳び!右岸と左岸をどちらも楽しめるお得なツアー!☆★☆
モンマルトルからシャンゼリゼ通りまで、パリの魅力を一気に堪能できます。この機会にぜひお申し込みください。

開催日:7月16日~17日、30日~31日(開催日限定)
最少催行人数:10名
行程:黄昏のサンジェルマンデプレ~夜のモンマルトル~朝靄のシャンゼリゼ通り(詳細後日、いずれも徒歩)
集合場所:現地
解散場所:現地


……いやいや、ハードすぎるでしょ。
左岸→右岸→左岸て。素人の行程かよ。別にダブルブッキングした部屋があるわけでもなし、さしものパン・ワールド・ツアー・エンタープライズも真っ青の「闇ツアー」である。
だがしかし、この難行程を可能にする旅行社がひとつだけ存在するらしい。

──そう、巴里祭である。
有名なシャンソンや宝塚に馴染み深いフランスの楽曲でパリの魅力を語りつくすこのツアーコンダクターを、今年は芹香斗亜がつとめるという。
きっと難行程をものともせず、パリのすてきな一日を夢見させてくれることだろう。
セーヌの河岸でパステルカラーのジャケットを翻すパリジャンも、仕事をサボって煙草をふかす不良なギャルソンも、恋したひとの姿を一心不乱に描く売れない画家も。そうしたパリの街に息づく人びとを、きっと鮮やかに披露してくれるに違いない。


というわけで、巴里祭に行ってきました!!!!(唐突な暗転)
冒頭、阪●交通社の真似してツアー詳細とか書いてみたけど秒で飽きてしまったので、以下はふつうに巴里祭の美しい思い出の備忘録です。
いやもうほんと、今回はさまざまなご縁にめぐまれてHHI開催分に三回とも参加することができました……本当にありがとうございます……あとうちの両親もこのタイミングで私を生んでくれて本当にありがとうな……万物に感謝……
たくさん歌ってたくさんきらめきをふりまくキキちゃんを堪能できてめっちゃ幸せです。THE王道の巴里祭!!って感じで、生田くんの趣味が顔を覗かせつつも素敵なレビューでした。
あと輝きとかきらきらとか、そういうものを可視化したのがキキちゃんだと思っていた私の考えが立証された感があります。わりと真面目に。凡人でも夢を買えるように具現化してくれてありがとう……万物に感謝……

まだまだパレスホテルが残ってますが、とりあえずいまのこのどうしようもなく迸るパトスを感じてもらえると嬉しいです。
そしてみんなキキちゃんをもっと好きになったらええねん。気になりはじめたらええねん。それでええねん。


※多分にネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。しかもなんと、まだ前編です。


まずセットが豪華~~~!!!
私が寝る間も惜しんで予習していた巴里祭たちは、結構ふつうの平場にフラスタ(?)が何本か立っているだけだったのに……なんだかとってもバウ公演のフィナーレみがあるセット。奥行がすごい。生田くんの気合を感じる。

そしてその豪華なセットに負けないくらいの客席。
……ここはロイヤルファミリーの結婚式か??それかステージスタジオはお衣装のレンタルでもやってたのか??
なんかもう滲み出る気合いが違いすぎて私は恥ずかしくていっそ素っ裸になりたいくらいだった。ならないけど。
とにかく客席もとってもきらきらしてて眼福の極みだった。たぶんこの二日間、あそこは日本でいちばん華やかな宴会場だったと思う。

──そしてそう、これである。

一見そうは見えないけれど、これは紛うことなき凶器であった。
後述するが、これのせいで私は三回死ぬはめになる。
※なおそのため、この記事はアナザーワールドから投稿されています。



目の前に鎮座する凶器に今世紀最大のBPMを刻む心臓をよそに、ついに巴里祭の幕が上がる。
聴き慣れたラ・マルセイエーズとともに、上下からきらきらと弾けながら飛び出す宙組子たち。かわいい。輝いてる。
そして満を持して登場したのがそう……ど真ん中でピンスポを浴びる芹香斗亜~~~!!!!!!!
勝ち!!!!!もう勝ち確定!!!!優勝!!!!おめでとう!!!!(?)
ポスターと同じような真っ白なお衣装に身を包んだ芹香斗亜のきらめきが眩しい……目に痛いはずなのに心が幸福すぎる……
私は男役のパフスリーブに弱いのだ。それが白できらきらしてて贔屓が着てるとなったら無抵抗で軍門に降るしかない。もう好きにしてほしい。

ラ・ヴィ・アン・ローズをかろやかに歌う芹香斗亜なんて、もうパリの擬人化では??パリじゅうの恋人では??シャンゼリゼ通りあたりに10m間隔で像でも立っているのでは……??
それくらいの美しさなんだけれど、でもなんかこう畏れ多いほどの美というより、柔らかくてあたたかくて陽の光みたいな……青空に手を透かしたときの清々しさ、晴れやかさを感じる美しさ……なに言ってんだろうな私……

それからラ・ヴィ・アン・ローズもメケ・メケも、手の振り付けが最っ高に粋!!!
キキちゃんの細い手首や長い指先がめちゃくちゃ堪能できる、子気味いい振り付けが最高。とくに「メケ☆メケ☆」ってテンポに合わせて顔の横でキラって……ウッ……かわいかった……
いやほんと今回の巴里祭とおしてすべてに言えることだけれど、お衣装も構成も振り付けも最of高with最高だった。これが映像に残って毎年七月に見られるのはありがたい。万物に感謝。
あとメドレーの最後が愛の讃歌だったんですけど、このときのキキちゃんがもう……きらきらしすぎてて消えてしまうんじゃないかと思うくらいに煌めいてた。
ペカーッ!て後光が射すような強い煌めきというより、すっごい極小な光の粒がふわふわと舞ってる感じ。
オーロラ……いや違うな、ベール……あっそうベール!!!!きらめきのベールをまとってた!!!(伝わらない閃き選手権)

そうしてシャンソンメドレーを歌いまくり、せーこさんたちのお衣装替えのあいだに男役みんなで巴里祭のコンセプトを教えてくれるタイム。
ここで毎回ゆる~~~っとしたふわふわ空間になるの本当に宙男の屈託のなさが全開でかわいかった。まったりタイム和む。
冒頭で私が阪急●通社の真似をしたように、今回の巴里祭は「パリの一日」をテーマにしているもよう。恋人たちの午後、黄昏の詩人たち、歓楽街の夜、それから宵闇の夢想を経てパリの夜明けへ……といった感じ。
ここのセーヌのくだりで必ず小ネタがはさまれてたのが面白かったので、詳しくは皆さんのツイをご検索ください。私のぽんこつ海馬では宙男たちのかわいい姿しか記憶できなかったので……
あ~~~でもわんたくんがセーヌ河の行ったり来たりを武庫川に例えてるやつ(要検索)、ラス回のはメッチャ共感した!!

キキちゃん「ちょっと忙しいんですけど、セーヌ河をあっちからこっちに行ったり来たりしてもらって……」
わんたくん「はいッ(勢いのある挙手)」
キキちゃん「はい?(もうすでに笑ってる)」
わんたくん「こういうことですよね?久々に宝塚を観て、芹香さんにズキューン!!!!!……で、意識朦朧としながら南口に向かってたら、『あっ!そうだ!』ってキャトルに引き返してDVDや本を買いまくるという……」

わたし「(めっっっっっちゃわかる~~~!!!!!)」みたいな。
とくに意識朦朧としながら~のくだり最高に実体験だった。わかりボタン24812795連打した。ありがとうわんたくん。

で!!で!!!
お着替えがおわって登場したシャンソン人形の宙娘たちが!!!めっちゃくちゃかわいかった!!
あれが萌えだな……いや本当に鬘も振り付けもすごいかわいかった……とくに「♪わたしはときどきため息つく~」「ほぅ~(ほっぺに手のひらをあてる)」のくだりのかわいさオーバーゲージでした。思い出してはニヤける。

そしたらそのかわい子ちゃんたちをナンパしにさぁ、パリの男どもがやってくるわけ……
「Salut!」「ca va?」とか言いながらギャルソンや軍人、画家たちが上下から飛び出してくるのだ。みんなイケメン。相変わらずパリ大勝利。
でも、宙娘ちゃんたち五人に対してイケメンが四人。足りない。奇しくも余ってしまったららちゃんが拗ねてどっかに行った……と思ったら、下手から駆けてくる優男がひとりいるわけさ……そうさ……芹香斗亜さ……
あざやかなブルーのジャケットに紅色のスカーフ、ミルキーホワイトのパンツのキキちゃん最高にTHEパリジャン。セーヌ河にいそうだもん。なんかバゲット抱えてカフェオレのカップ携えてそう(偏見か?)

そしてららちゃんが戻ってきて、やっとふたりでデュエットするわけなんだけど……なんかめっちゃいい雰囲気だったのに、キキちゃんが急に浮気をしてしまうわけだ。
客席に降りてきて、なんとお客さんを舞台上にエスコートして公開浮気しちゃう。
いや……あの距離で見つめあって情熱的に歌われつつ手を握りしめられてたらもう……死ぬな……悔いはないよな……
しかもこの芹香斗亜、手をず~~~っと離さないのだ!!!!!鬼か!!!???
初回でお客さんに振り切られて小芝居の途中で席に戻られてしまったからか、二回目からはず~~~っと握ってる。オペラ越しでも分かるくらい結構なちからで握ってた気がする。いや恐ろしい……あなたの手をがっちりホールド……
で、まぁ案の定ららちゃんにバレる。そりゃバレるわ。

それで盛大にブン殴られてからの「ろくでなし」!!!
宝塚でも結構耳にする曲だというのに、あれほどまでコブシの効いたサビははじめて聴いた気がする。
♪ろくでなし~~~じゃなくてもう♪ッろrrrrくっでなし~~~って感じ。巻舌めっちゃツボ。
ららちゃんにブン殴られてふらふらとカフェの席につくキキちゃん、酒をすすめるギャルソンのナニーロ、よぼよぼのキキちゃんを写生しようとするわんたくん……そしてそれを見ながら女子会してるせーこさんたち……いやほんと最高の場面だったなぁ……
女子会に「ヒィッ」てなるキキちゃんも「うわーん!」な顔してカフェのテーブルに突っ伏すキキちゃんも超コミカルでかわいい~~~養いたい~~~!!
息してるだけで毎秒5円あげたい~~~!!!!
ららちゃんにもう一度好きだと言いに行くのに、せーこさんの睨みに負けてすごすごと戻るキキちゃんもよかった。アルジーみやジェラルドみがとてもあった。


そうして、舞台はいよいよ黄昏の詩人たちへと移り変わっていく。
ここ、最高にエモかった……エモいという言葉が便利すぎるので陳腐に聞こえるかもしれないけれど、ほんっっっとうに情緒的で美しかった。
トレンチコートを羽織ったキキちゃんが、カフェの椅子に腰掛けながらなにかを必死に書きつけている。それを見つめながらアブサンを歌うせーこさん。
歌詞からするに、キキちゃんは詩人らしい。たぶん詩人になりきれてもいないような、ランボーヴェルレーヌに憧れている青年。彼らがのめりこんだ安価なアブサンを煽って、せーこさんのことなんて見向きもせずに愛の詩を書き続けている。
せーこさんは愛の言葉がほしい。詩なんていらない。でもキキちゃんはそうじゃないのだ。
キキちゃんがひとり椅子と絡んで踊るところや、せーこさんと向かい合って手を伸ばしたのに完全に視線が絡まないところ(夜のボート的なすれ違い)、歌詞もあいまって切ない余韻たっぷりで美しかったなぁ……大劇場で観たいくらい……
結局せーこさんはたった二言の愛の言葉を囁いてくれるひとのもとへ去ってしまうんだけど、ここの演出が最高だった。
せーこさんが去っていく気配にあわせて、キキちゃんが手元の紙からゆっくり顔を上げていく。その横顔のきれいな影が黄昏どきのライティングに映えて、もうめちゃくちゃ胸にクるものがあった……大劇場で観たい……(二度目)


それからエディット・ピアフのmon dieuを、キキちゃんがソロで歌い上げる。
この流れで感動しないわけがない。
シャンソンメドレーや恋人たちの軽やかな雰囲気から一転して神々しい、重厚な空気感に変わっていく。
一瞬たりとも気が抜けない素晴らしさだった。息を呑むほど、ってたぶんこういうことなんだろうなぁ……
ライトに照らされながら、客席を練り歩いて歌うキキちゃん。mon dieu自体がラスサビに向かってどんどん盛り上がる曲なんだけれど、それにあわせてキキちゃんの声もどんどん伸びていく。低音がすっごく心地いい……歌がべらぼうにうまい……
そうしてついに、客席後方のお立ち台に登るのだ。
本当に目と鼻の先で、喉を反らせて両手を広げて朗々と歌い上げるキキちゃんがいる。
ライトに照らされた汗のきらきらも、透けるような金髪も、マイクを握りしめる細い指も、すべてが目の前にある。
しかもmon dieuのラスト、「あなたはわたしのもの」って歌うんだけど……そこでもう神々しすぎて泣いた。なんかスカステの機材入ってることとか化粧とか忘れてギャン泣きした。
命のきらめきとか輝きとか、そういうのが具現化して目の前に現れている感覚。
本当にくそくそ気持ち悪いことを言うんだけど、なんかほんと……あの……世界にキキちゃんしかいないみたいな……まわりの音も聞こえなかったし、一瞬まじでなんにも見えなくなった。キキちゃんしかいなかった。いやもうくそ気持ち悪いけど……
あの瞬間、わたしは死んだんだと思う。だからまじでこれはあの世からの投稿です。


紫苑の間じゅうに素敵な歌声を響かせて、キキちゃんはジャケットを翻しながら一旦去っていく……んだけど、それから息もつかせずステージのうえにはムーラン・ルージュみあふれる宙組子たちがスタンバっている。
でも本当にごめんなさい!!!ここの記憶がまったくありません!!!!許してください!!!!
目の前にキキちゃんがいた事実を咀嚼するので精一杯だったんだ……私も惜しいことしたと思ってるけど三回ともここの記憶はないんだ……情状酌量してくれ……



──さて、舞台が歓楽街の夜に移ったタイミングで一旦この記事を締めたいと思う。
なぜって?
それはね、後半にかけて怒涛の生田くんの趣味攻撃があるからさ……私がツイッターで夜毎浮かされている「カナリア」「黒い鷲」がついに登場するからさ……そんなんエモポエムを呟かざるをえないでしょ……

というわけで次回、今回よりも長くて気色悪そうな記事をお楽しみに!!!!!!!