18列46番で会いましょう

私に好きなだけキキちゃんの話をさせてくれ

それは絶望か、希望の光なのか。

お久しぶりです。相変わらずキキちゃんが好きです。2019年もよろしくお願いします。


さて、もうなにを言うために記事を上げたか、わかるひとにはわかると思う。
そう。そうです。ザッツライト。
芹香斗亜が優勝。絶対に優勝。なんの試合かもわからないけど確実に優勝。
それを伝えたかった。
──なぜかって?
だってそりゃあ──「群盗」が空前絶後の傑作だったからだ!!!!!!!!!!
上から下まで宙組子がこれでもかと歌い踊り芝居をし、感情を発散させ、最後はキラキラの笑顔でしめる最高の舞台だった。小柳先生ありがとう。お花代を振り込みたい。
いや、これがまだ初日明けてすぐだっていうんだから驚きである。
これ以上毎日進化していったら千秋楽にはどうなってしまうんだ……毎日観に行ってしまうじゃないか……(※毎日観に行きます)

さて、とりあえず傑作であるということをなるべく早めに鮮度高いうちにお伝えしたいと思う。鉄は熱いうちに打て。
なぜかって?
だってそりゃあ…………空前絶後の傑作である「群盗」はみんなに観てもらいたいからだ!!!!!
なんとかしてチケットをもぎ取って観に行ってほしい。盗むのはよくないけど。あるところにはあるさ(どこ?)


さて、文章を組み立てる余裕はないので、もう考えずに感じてほしい。小柳先生もパンフレットでそう言ってるから。
ドントシンク、フィールエモーショナル。
ほとんどツイッターの再録なので、ツイッターですでに胸焼けしてる人は画面を閉じてタカニュを見ていたほうが有益です。クソ長いよ。ネタバレもすごいぞ。
おや、いいのかい?……あんた、ここは初めてみたいだね。ここはそういうブログだよ。覚えときな。


<アナウンス>
※アナウンス!!!!???と思われた方、お使いの脳みそは正常です。

宙組の芹香斗亜です」……いや泣くじゃん。泣くでしょ。
それにキキちゃんのドイツ語、769416点。
ディ・ロイバー……最高……とくにフリードリッヒ・フォン・シラーの発音がいい。
「ドリッヒ」と「フォン」が!!かわいい!!


<一幕>
まずプロローグからして素晴らしい。
最高に小柳先生だし、どことなくヨシマサみもある。
これは盆があったら絶対にセリ上がりながら回ってたやつだと思う。エルアルコンや天河みがある。
なおかつキャッチーなアニソン。ペンライト振っていい?
そして満を持して登場するポスター衣装のキキちゃんがかっこいいんだな!!!2431579点!!!前髪の計算されつくした動き、シャープな佇まい……ハイ優勝!!!!


ここであがりきったテンションを維持したまま物語に導入してくれるのは、こってぃのヴァールハイトくんである。
明らかに善人。絶対に善人。「善」の要素しかない。恵まれた人格をしているに決まっている。
こってぃが上手いなぁ、と思うのは、こうしたキャラ解釈を難なくこちらに知らせてくれるところ。
不良やクズ、狂気の芝居のほうが賞賛されがちだけれど、わたしはこういう善人のほうが難しい役どころだと思う。
とくに狂言回しとして演出の核を担いつつ、芝居にも加わってキャラも発散させるの、本当に大変なことだと思うんだぁ……こってぃすごいよ……研326189か?


そしてここから、もう「上手ぇ!!?」の波状攻撃であった。
まず、幼少期のちびっこたち。かわいいし上手い。緊張せずに歌って踊って、なおかつまわりにあわせて芝居まで出来るのやばすぎんか?
とくにフランツ(もえこ)の少年役してる真白くんがビビるほど上手いんですよ!!!!
彼は(※彼ではない)まだ104期なんですよね……去年アナザーワールドで初舞台を踏んだばかり……いやもう、宙組の未来、明るすぎる。
屈辱と憎悪と劣等感に苛まれつつも、幼いやんちゃなところが隠しきれない少年フランツをめちゃくちゃ絶妙なバランスで演じていると思う。
剣術の稽古のくだり、上手すぎる。あと殴られるのも上手い。
ところでカッコウの笛、重すぎない?
投げ捨てられたときの\デュクシ!!!/メッチャ笑う。鉄か?鉄なのかな……


そうしていよいよ登場してくるキキちゃんが、いや……いや、まさかの超絶「陽」キャラだった。
かわいい。かわいい!!!!
ポスターの雰囲気はどこに行った?と動揺したのもつかの間、でもかわいいからいいやってなる。甘い菓子パンをあげたい。いっぱいおたべ。
にしても緑色のヒラヒラな貴族キキちゃん、久々に明るい。溌剌としている。ジェラルドみがある。
それに対するもえこフランツの~~~少し暗い卑屈そうな雰囲気、最高!!!!満点!!!
この兄弟、絶対にこじれるぜ……カインとアベルだぜ……
とくに「あなたはいつも光に向かって咲く大輪の花のようだ」と笑うフランツに対して、「僕は太陽になりたいんだ!」ってあっけらかんと言い放つカアル。
この差がね、もうね、すばらしいと思う。
憧れつつも、ちりちりと焦げつくような羨望と憎しみを募らせるにあまりある陰と陽。
だってフランツにとって太陽は見上げるもので、「太陽になる」なんて発想ないもんね……それをさらりと言ってしまえるカアルが憧れで、羨ましくて、そして憎らしい。
そうしてフランツは、煤で黒くしたガラスで太陽を見るように、眩しいものは汚せば見られる、って思うようになってしまうんだなぁ……


それからなによりわんたのヘルマン!!!
もうこれが出色の出来!!!!!
「こいつは絶対にやべぇ」感がすごい。濁った目つきが爆裂に上手い。
なんだろう、ナポレオンのタレーランっぽい。
たぶんこのヘルマンも、昔はフランツみたいにマクシミリアンに対して憧れが勝っていたときがあるはずでしょ……それがいったいどこでこうなったのか。スピンオフが切実に観たい。
※ヘルマンのやばやばのやばポイントは二幕に炸裂するので、後述します。


そしていよいよ登場する群盗ーズ。
まずキャラが最高!!!!!!ヒュ~~~!!!
生真面目すぎて理屈っぽい穂希くんのシュヴァイツァー、明るい力馬鹿なれんやくんのシュフテレ、キザで色っぽいなつくんのロルラー、繊細で優雅な潤滑油のような愛海くんのラツマン。
それから秋奈くんのシュピーゲルベルク。彼はともすれば粗野で乱暴な男なんだけれど、本当にリーベ(まいあちゃん)のことを愛してるんだろうなぁ。
それがよくわかる、一番人間らしい男だった気がする。
みんな歌が上手いし芝居心はあるし滑舌はいいし、声が素晴らしくてもうなにも言うことがなさすぎる。
小芝居を入れこんだり、メインの脚本が動いてる後ろでちょこまかとキャラのアレンジを入れられる余裕がすごい。語彙力が失せるほどに感動する。いやまじで。
それからそう!!!群盗ーズのファミリー感!!!!
この一体感が素晴らしいので、感情移入が容易だった。
彼らが希望の光をたたえて邁進しているところはこっちも楽しいし、逆に追い詰められていくところはしぬほどしんどい。
なにをも恐れない青春の輝きと、それからすべてに追い込まれる焦燥の緩急は、この学年でしか出せないのかもしれない。
このタイミングで、このメンバーでの群盗……小柳先生まじでありがとう……


青春のきらめき、若さの瞬き。歓喜の歌に迎えられる群盗たち。
そんな流れをぐぐっと変えるのは、グリム(さくらちゃん)の血を吐くような「わかってないんだ!」という叫び。
民衆に裏切られ、追い詰められた群盗たちを助けるために命を投げ出した少年の叫びが、場を一気にぴんと緊張させる。
「兄ちゃんたちは、それを変えるために盗みをしてるんだろう?」
一生懸命絞り出されたこの台詞が、群盗の行方を決める。
あなたたちは貧しさと苦しみと屈辱を払拭して、世界を変えるために盗みをしているのだ。そうした完璧な理由づけが完了する。
自分たちのきらきらしい「理想」に、ついにままならない「現実」が託されてしまったわけだ。
はたして「わかってない」のは民衆なのか、群盗だったのか。
きっと群盗もわかってなかった。だって「わかって」いたら、カアルもあんなにあっさり捕まろうとするはずがない。わかっていなかったからこそ、グリムを死なせてしまった。
そして、ついに慟哭するカアルの台詞がたまらないんだな……
「俺に自由を与えよ、しからずんば死を!」
その決断を下すカアルの顔が、これまでとはがらりと変わる。
若草色のきらめきをまとっていた朗らかな顔は、いまはもう目の前にある現実を睨むうっそりとした顔になっていた。
目つきが違う。目の色が違う。すべてを振り払って、いまこそただの「カアル」になったんだと言わんばかりの顔つき。
この豹変ぶりにぞっとして、それからこのあとにカアルを待つ「現実」に胸がちぎれそうになった。
小柳先生は優しいオタクなので、冒頭ですでに注意書きをしてくれている。カアルは処刑される、と。
こうして立ち上がったカアルがどうなるか、こっちは知っているのだ。それがしんどい。
カアルを見上げる群盗たちの燃えるような双眸がどうなるか、それも知っている。だからしんどい。
群盗たちが輝いていた瞬間を楽しんでしまったからこそ、はぁ……もう……めちゃくちゃしんどい……
この時点で、私はまだ狂言回しのこってぃ同様、カアルが迎えるラストが「絶望か希望か」を決めあぐねていた。
はぁ……しんどい……


<二幕>
冒頭に追い詰められる群盗VS追う市民のダンスシーンを入れてくれたの、本当に感謝しかない。ありがとう。サンキュー。グーテンターク。
奈穂子版1789みがあったのはこれのおかげもあると思う。
爆イケでキレッキレでかっこいいんだけど、ちゃんと物語の筋を追っていて、群盗ーズの焦燥や動揺が手に取るように伝わる。頭を抱えたり、這いつくばったり……目線が下向きが多くて、腰の重心が低い振り付けが多いからかなぁ。
私がとくに好きなのは、壇上にいるカアルが砂をすくって、手からすべてこぼれ落ちていくような振り付けのところと、市民と対角線上に対峙して下手のほうで胸筋をガシガシ左右に見せつけるところです。いや、見たらわかると思う……たぶん。


二幕のイチオシソングといえば、やっぱりもえこフランツのタペストリーの歌かな、と思う。
もえこフランツの弱さと傷の根深さ、そしてジレンマがこれでもかというほど詰め込まれていて、フランツもカアルと同じく後戻りできないところに来てしまっていることを感じさせるんだな……
もちろんフランツも純然たる悪として生まれたわけではない。けれど、真っ白い紙に落ちた一滴のインクを一生拭い去ることができないのと同じように、無理やり消そうとすれば紙ごと破れてしまうのと同じように、その劣等感や羨望と上手く付き合っていくしかない。
でもそのとき、そのインクの上からヘルマンが同じ色のインクを垂らしてきたわけだ。染みはじわじわ広がっていって、真っ白い紙を黒くする。
そうして後戻りができないことを悟りつつも、こうでしか生きられない自嘲を含ませた歌がね……最高なんじゃ……


そうそう、歌への導入もいい!!!
カアルのことだけは覚えているマクシミリアンに、フランツは母親のことを尋ねる。剣を抜きながら──覚えていなければ殺すし、きっと覚えていないだろうと思いながら。
でも、マクシミリアンは母親のことを覚えていた。そしてフランツのことも思い出した。
たまらず「ここで朽ちるがいい」と言い放ってからのタペストリー……最高やん……
殺さないんだよ、フランツは。殺せないのかもしれないけれど、少なくともあのとき、フランツは殺さなかった。そこがもうエモいやん……


なのに、アマーリアには「人の心がない」と言われてしまうんだよなぁ。
母親を想い、マクシミリアンのことも哀れみ、そしてカアルを羨んでいることも、アマーリアを愛していることも伝わらない。
そしてフランツもまた、それをあからさまに伝えようとしないのが切ない。
「あなたのフランツは、喉を鳴らして目の前に這いつくばったりしない」「恋に悩む羊飼いのように恋心をかき口説いたりしない」「あなたのフランツは、ただ命令するだけです」
この感情の発露の下手さ、愛おしいほどに好き。
命令する、という言葉から伝わるのは傲慢さでも強引さでもなく、ただしんとした悲しみだけなんだ……


群盗すべてを通して絶妙だな、と思うのは、誰も「愛している」と相手に向かってきちんと言葉にしないところ。
カアルもフランツも、アマーリアも、シュピーゲルベルクもリーベも。そしてマクシミリアンもきっと、妻に愛をうまく伝えられなかった。
言葉は機能そのもので、愛しているとか好きだとか言うだけで、彼らの関係性は固定される。
けれど、彼らの誰もが白々しく記号化された言葉は口にしない。
それでも胸に迫るものがある。しぐさで、視線で、メロディで、セリフの行間で、愛を伝えてくる。
それこそがまさに、機能を捨てて、肌で舞台を感じるために必要なものなのかもしれないなぁ、と思った。


アマーリアの「私は女です、……でも卑怯者じゃない!」ってセリフもとても好き。
「我が娘ながら気が強い」じゃないけれど、アマーリアの真髄を見たような気がする。だからこそあのラストにたどり着くし、だからこそカアルを信じて生きてこられたんだなと納得できる。
でもなにより一番すごいのは、アマーリアを演じるじゅりちゃんだと思うんだ……
だってアマーリア、超難しい役でしょ!!??
それこそ愛してるも好きも言わず、カアルと会話するところは一幕冒頭だけなんだもん!!!!
それでもカアルのことを心底愛していて、信じていて、そして芯が強い女性だということをすべてで現してくれる。だからラストの説得力が半端じゃない。


そうしてここから怒涛の展開なわけだけど、萌えメーターも怒涛の展開を迎える。なんかもう、振り切れて飛び散りそうなくらい萌えるんだ。
なにがってそりゃああなた、キキちゃんの!!!デュエダンですよ!!!!
まずナニーロくんのコジンスキーからふるさとの窮状を聞きつけ、急いで帰還したカアルの……カアルの佇まいたるや……
私が貴族のふわふわハット斜め被りに弱いと知っていての所業か!!!?殺す気か……ヒィ……
真っ黒なふわふわハット(なに?)を斜めに被り、仕立てのいい紫の貴族服をまとったキキちゃん……コンマ単位で舞台写真がほしいよ……
そうしてアマーリアと再会して、この……こう、この、あの、最後よ!!!最後!!!
アマーリアが「おかえりなさい、カアル」って言ってからの~~~……ハットを投げ捨てる!!!!そしてかき抱く!!!!!からのデュエダン!!!!!!
もう波状攻撃がすぎる。殺す気か。喜んで死ぬけど。そして蘇るけど。
昏い色のお衣装とアマーリアの喪服が最高だった。決して華やかな場ではないのに、ふたりの愛がいま結実したと言わんばかりの最高潮っぷり。
両腕にすっぽりおさまるじゅりちゃんをバックハグするキキちゃん、じゅりちゃんをかき抱いてその胸に頬をよせるキキちゃん、泣くのをこらえながら微笑むじゅりちゃん……絵画か……まるで絵画のようではないか……
再放送になるけど「おかえりなさい」ってのもいいよね。愛してる、でもなく「おかえりなさい」なんだよな……えっ……エモ!!!!??!!?(クソデカ声)


そして物語は佳境を迎える。
結婚式に忍び込み、帰還を高らかに告げるカアル。ズーゼルもモーゼル牧師も帰還を喜んだつかの間──そう、ヘルマンである。
もう本当に、このヘルマンがたまらないんだよ……そしてそれを上級生の凛きらと対峙してやり遂げたわんたがすごいんだよ……
正気を失ったマクシミリアンをゆさぶり、すべてを思い出させてから、ヘルマンは彼を殺そうとする。その理由はもう見ている側には明らかなんだけれど、マクシミリアンにはわからない。
「なぜそこまで私を憎む!?」
いや、まぁ、この……理由がわからないところがね……すれ違いの極みって感じだよね……
そしてヘルマンが告げるのだ。
「私が、あなたではないからだ」
いやさ……もう……正直に言う。私はキキちゃんもカアルも好きだし、群盗もめちゃくちゃ好きだけど、このセリフがなによりぐっときた。
きっと、もっといろんな理由があるんだよ。父親がマクシミリアンばかり構ったとか、ふとしたことで褒められるのはいつもマクシミリアンだったとか、言われのないことをヘルマンのせいにされて乳母に叱られたとか。きっとたくさんある。
それでも結局、憎しみというのは憧れの裏返しなんだよ。
いつか兄上のようになりたい。でもどうあがいても、兄上にはなれない。だから恨む。
いやもう……そんな絶妙なエモをここまで凝縮したセリフ、ないでしょ……
「なぜ私はあなたより早く生まれなかった」「なぜ私の足は曲がっている」からの「なぜ……私は生まれたのだ……」がもう……さぁ……(クソデカため息)
自分の曲がった足と同じほうの足を刺すのもエモいけど、こんなに胸に迫る「なぜ」の畳み掛け方ある……?ないでしょ……


畳み掛けといえば、もうここから滂沱の涙でしかない。
とどめを刺そうと振り上げたヘルマンの刃に、フランツが割って入る。ここでマクシミリアンを見ながら背中で斬られるフランツがもう……「父上」って呟く声の清々しさといったら……
そうしてフランツを斬り殺すヘルマンを目の当たりにしたカアルが、ヘルマンを刺す。しかもアマーリアの目の前で。
もう……地獄じゃん……胸が詰まりすぎて、鳩尾が痛すぎて涙が止まらないんだよ……
マクシミリアンは救われたかのように微笑むし、フランツは最期の最後にカアルの伸ばした手を「もう一度生まれ変わってからにするとしましょう」って悪戯に拒むし……もう……
この皮肉なほどのすれ違いのおかげで、キキちゃんがようやく振り絞る「なぜ……!」が最高に効いてくるんだ……


駆けつけた群盗たちが、カアルに逃げようと告げるところでさぁ、またさぁ!!
これまで一切誓いを口にしなかったシュピーゲルベルクが「誓いを忘れたか!」って叫ぶのがいいんだよ……!!!!お前そういうとこやぞ!!!
そしてついに、アマーリアが決断する。──「殺して」と。
この言い方があまりに清々しくて、儚く美しくて、そして力強くて……しかも満足げなのがまた……
じゅりちゃんが丹念に積み上げてきたアマーリア像が、きちんとここで完結する。
それに、カアルがアマーリアを刺すときの、群盗たちの顔がもうだめだった。
シュヴァイツァーはそれを呆然と眺め、ラツマンは動揺して取り乱す。シュフテレは最初から顔を伏せ、ロルラーは見守ったあとに天を仰ぐ。そしてシュピーゲルベルクは、しっかりと見届けるように睨みつける。
その各々の顔が、視線が、もうたまらなかった……あのときはみんな、演じているんじゃなくって、もうそこに群盗たちが「いた」ような気がした。


そしていよいよカアルが、最後の決断をする。
傷つけられた秩序を回復するための、たった一人の犠牲になるために立ち上がる。
もうオタクだから許してほしいんだけれど、私は生来、去るものが残る者になにかを託す図にしこたま弱いのだ。オタクはみんなそうだと思う(主語デカ主張)
カアルが一人ひとりの顔を見ながら、「託して」いく。
この演出が苦しくて、尊くて、涙が止まらなかった。悲しいからとか、辛いからとかじゃなく、ただ感じるままに咽び泣いてた……
とくにカアルがかける言葉が、どれもこれもいい。
ラツマンには、医学ではなく詩を書けという。そしてシュフテレにそれを、感動的に詠んでほしいと頼む。ラツマンは泣き、シュフテレはやめてくれよ、と言わんばかりに肩を落とす。
それからロルラーには肖像画を描いてくれ、と茶化す。それは英雄ではなく「愚かな盗賊の姿」で、と注文までつけて。ロルラーは悔しそうに首を振る。
法を守れ、と言われたシュヴァイツァーは、涙を流しながらもしっかりと頷く。
コジンスキーには、城を頼む、と伝えた。きっと彼のアマーリアと再会して、領民誰もが幸せに暮らせる世の中を作ろうと懸命に頑張ってくれると思う。
そしてなにより、シュピーゲルベルクにかけた言葉が信じられないくらい刺さった。
「リーベを許してやってくれ」。
これはもう、アマーリアに許されたカアルにしか口にすることのできない言葉だったと思う。
そう言われて、静かに涙を流すシュピーゲルベルクの返事もたまらなかった。
だって「隊長さん」って……カアルのこと、「隊長さん」って……
これまでも「さすがだな、隊長さんよ」なんてふざけて言ってたけれど、最後の最後に滲み出た信頼の念がもう……最高だった……
お前……ほんまそういうとこやぞ……


なにより一番ぐっときたのは、カアルのこのセリフ。
「もう群盗じゃない、明日からは一人ひとりが自分の道を歩むんだ」。
群盗って、いってしまえばキャッチーなタイトルではないと個人的に思う。宝塚ならもっと、ほら……「ディ・ロイバー」とかいろいろあったはず。
でも、あえて「群盗」にした。
漢字から意味を想像できる群れを残し、わざわざ一幕で「盗賊の群れかぁ」なんて言った。
それがまさか、こんな最後の最後で生きるなんて誰が思った……??
もう群盗じゃない。群れじゃなくて、一人ひとりとして生きる。
それをこの新公学年ばかりの舞台で言い放つことの感激や衝撃は、なかなかないと思う。
本当に小柳先生ありがとう。いや……そりゃまぁ……たぶん深読みだと思うけど……それでもさぁ、ありがとう!!!!


そしてみんなを逃がしたカアルの、最後の言葉と表情がもう目に焼き付いて離れない。
きっとヴァールハイトはカアルの言うとおり、貧しい男に賞金を渡してくれる。それを信じて、カアルはヴァールハイトにも「託した」わけだから。
光に向かって歩いていくそのカアルの、キキちゃんの背中といったら……
叫ぶでもなく、喚くでもなく、ただ背中で語る。
若いパワーが炸裂する群盗の舞台をきゅっと引き締めたのは、研12の芹香斗亜だったのかもしれない。


もうこの時点で相当涙腺がガバガバだったのに、追い討ちをかけるように訪れたのが、そう……ラストの白シャツナンバーである。
いやもう……あの……涙が渇く暇がなさすぎるでしょ……目尻から頬にかけての顔面施工がドロドロですよ……
プロローグと同じ構図はオタクが好きなやつだからやめてって言ったでしょ!!ごめんなさい嘘です!!もっとやって!!!
振り付けも歌詞も、なにもかもがもうエモい。しんどい。嗚咽が止まらなかった。
キキちゃんが群盗たちのもとへ近寄り、笑顔でやさしく語りかけるように歌う。
手を伸ばせば、って歌詞ならまいあちゃんの腕をとって伸ばしてあげて、笑顔になる、って歌詞のところで愛海くんの頬をつついて笑顔にさせる。
こんなん卑怯でしょ!!!!??くそッ小柳先生め!!!!お花代を振り込ませろ!!!
またそのあとの歌詞もメガほどエモい。
私はオタクなので、組替えとかそういうのが感じ取れる歌詞にめっぽう弱い。そのメンタルにクリティカルヒットです。
なんですか「星のように」って……「住み慣れたところを離れて」って……「見上げた宙に新たな出会い、新しい歌」って……Oh……
それを全部キキちゃんがあのきらきらしい笑顔で溌剌と歌い上げるからいけない。ドラマシティじゅうを包みこむような、柔らかい歌声がいけないんだ。


そうして最後に祝福の光を浴びながら、ぱっと顔をあげたその表情といったら……
初日から5公演観ましたけど、ぜんぶ違うようにさえ見える。希望、未来、達成感、爽やかさ……毎回毎回、その「表情」が違う物語を魅せてくれているような気がした。
あの満ち足りた顔をオペラで覗けば、もう視界はぐちゃぐちゃですよ。感情と生理現象が追いつかなさすぎて、息さえしづらくなる。
大好きとありがとうがいろんな言葉でこみあげてきて、もう泣きながら拍手をすることしか出来なかったんだなぁ……


──さて、タイトルに戻ろう。
はたして群盗は絶望か、それとも希望の光だったのか。
これはもう、胸をはって大声で叫びあげるしかないでしょう。
希望です。これは、希望です。
キキちゃんの、カアルの、宙組の希望だ!!!!!!希望の光なんだ!!!!!
頼むからみんな、盗む以外のなにをしてでも群盗を観てくれ!!!!!お願いだ!!!!!
私は呆けてもこの公演のことを話し続けるからな。「私はあの日、群盗って舞台を観てねぇ……それはもう素晴らしくってねぇ……」って言い続けるからな。
くそッ、覚えてろよ!!!!!!(訳:おかゆちゃんメッチャ良かったよ!!!!!)